東京高等裁判所 平成3年(ネ)4645号 判決 1993年3月31日
控訴人(原告) 東洋製鞄株式会社
被控訴人(被告) ジャーディン マセソン株式会社
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた判決
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、金三億円及びこれに対する平成元年五月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二当事者の主張
一 請求の原因
1 控訴人は、次の商標権(以下「本件商標権」といい、その登録商標を「本件商標」という。)を有している。
登録番号 第一七七五二八七号
出願 昭和五七年一月七日
公告 昭和五九年一〇月一一日
登録 昭和六〇年五月三〇日
商品の区分 第二一類
指定商品 かばん類、袋物、その他本類に属する商品
登録商標 本判決添付の商標公報(商標出願公告昭五九-七四八三五)記載のとおり
2 被控訴人は、訴外ハンティング・ワールド・インコーポレーテッド(以下「ハンティング・ワールド社」という。)から、タグに別紙目録記載のとおりの「BATTUE」との標章(以下「被控訴人標章」という。)を附したボストン、ショルダー、ブリーフ、クラッチ、ポーチ、ワレット(財布)、キャリーオン、ゴルフ、トランク、フォトフォーリイ、アタッシュ等のバッグ(以下、タグに被控訴人標章を附した右バッグ類を「本件バッグ類」と総称する。)を輸入して販売している。
3 被控訴人標章は、本件商標に類似し、また、右バッグ類は、本件商標に係る指定商品の範囲に属する。
4 被控訴人の右行為は本件商標権を侵害するものであるから、被控訴人は、これにより控訴人が被った次の損害を賠償するべき義務がある。
(一) 被控訴人は、昭和六一年一月一日から昭和六三年一二月三一日までの間に、本件バッグ類を、昭和六一年度は一三億円相当、昭和六二年度は一四億三〇〇〇万円相当、昭和六三年度は一五億円相当、合計四二億三〇〇〇万円相当輸入販売した。
(二) 右販売価額の内訳は、バッグ類九〇パーセント、財布類一〇パーセントである。
したがって、被控訴人の輸入販売に係るバッグ類の販売額は、昭和六一年度は一一億七〇〇〇万円、昭和六二年度は一二億八七〇〇万円、昭和六三年度は一三億五〇〇〇万円、合計三八億七〇〇万円である。
(三) 控訴人の損害額は、以下のいずれかにより、算定される額である。
(1) 控訴人が、被控訴人に対し、本件商標権について通常使用権を許諾するならば、その許諾料は売上利益の五〇パーセントであるところ、被控訴人は、右許諾を受けることなく、右バッグ類を輸入販売したものであるから、控訴人は、被控訴人の右行為により、通常使用権を許諾した場合に被控訴人から支払いを受けるべき許諾料の支払いを受けることができず、同額の損害を被った。
被控訴人の売上利益は、その売上高の三〇パーセントを下らないから、控訴人は、右期間中に、合計五億七一〇五万円(三八億七〇〇万円×五〇パーセント×三〇パーセント)の損害を被ったものである。
(2) 控訴人は、商標法三八条二項の規定により、被控訴人に対し、本件商標の使用に対し通常受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を自己が受けた被害の額として、その賠償を請求することができる。
本件商標の使用に対し通常受けるべき金銭の額は、上代価格による売上高の五パーセントが相当であるところ、下代価格を上代価格の六〇パーセントとして計算すると、被控訴人の右期間中における上代価格による売上高は六三億四五〇〇万円となり、控訴人が受けるべき使用料相当額は、三億一七二五万円(六三億四五〇〇万円×五パーセント)となるから、控訴人は、これを自己が受けた損害として、その賠償を請求することができる。
(3) 同条一項の規定により、被控訴人が右バッグ類の輸入販売行為により受けた利益の額は、控訴人が受けた損害の額と推定されるものである。
被控訴人の右バッグ類の輸入販売行為による利益は、上代価格による売上高の五パーセントを下らないから、控訴人が右期間中に得た利益の額は、(2) と同じく三億一七二五万円となり、これが、控訴人の損害となる。
5 よって、控訴人は、被控訴人に対し、本件商標権侵害による右損害のうち三億円及びこれに対する本件継続的不法行為の最後の日の後である平成元年五月一一日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
二 請求の原因に対する認否
1 請求の原因1の事実は認める。
2 同2の事実は認める。ただし、後に先使用を理由とする抗弁で述べるとおり、被控訴人標章あるいは「BATTUE CLOTH」、「バテュークロス」という標章は、本来ハンティング・ワールド社が開発した独自の特定の素材を示すものとして使用されているのであって、これが本件素材を用いて製造販売するバッグ類と常に結び付けて販売し宣伝広告されてきたため、第二義的に、本件素材を表示するものとしての本来の意義を超え、本件バッグ類そのものを表示するものとしても、需要者の間に広く認識されるに至っているのである。被控訴人が、請求の原因2の事実を認めるのはこの趣旨においてであり、もし、この使用形態では被控訴人標章を本件バッグ類について使用したことにならないとして抗弁が認められないとするなら、それは、とりもなおさず、被控訴人標章の使用が、本件バッグ類についての使用ではなく、素材についての使用にすぎないものであるからであり、そもそも、本件商標権の侵害になりえない。
3 同3の事実は認める。
4 同4の事実は否認する。
三 抗弁
ハンティング・ワールド社は、次のとおり、本件バッグ類について先使用による被控訴人標章を使用する権利を有している。
被控訴人は、同社との輸入総代理店契約に基づき、同社が被控訴人標章をタグに附した本件バッグ類を輸入販売しているものであるから、同社の先使用権を援用する。
1 ハンティング・ワールド社は、ウレタンコーテイングしたナイロンオックスフォードの表地に、厚さ一mmないし三mmのウレタンを貼りつけ、更に、裏からナイロンジャージーを貼り合わせた三層からなる素材(以下「本件素材」という。)を開発し、ある種の狩猟法を意味するフランス語の「battue」にヒントを得て、これを「BATTUE CLOTH」と名付け、これを同社の製造販売するバッグ類等に用いてきた。
2 ハンティング・ワールド社は、昭和五二年二月二日、株式会社サンフレール(以下「サンフレール」という。)と輸入代理店契約を締結し、その頃から、サンフレールを通じて、日本国内において、本件素材を使用した本件バッグ類の販売を開始した。ハンティング・ワールド社は、本件素材を用いた本件バッグ類をサンフレールに輸出するに際しては、バッグ類本体及びタグの表面に、ハンティング・ワールド社の標章である、円の中央に象の図柄をあしらい、その左上に「HUNTING」、右下に「WORLD」の各文字を配置した標章を附し、タグの裏面に、その素材が本件素材であることを示す形態で、被控訴人標章を附していた。そして、サンフレールに、本件バッグ類を前記タグを附したままで店頭に出させ、また、本件バッグ類の宣伝広告に、その素材が独自の本件素材であることを示すために、被控訴人標章あるいは「BATTUE CLOTH」、「バチュークロス」との標章を用いさせた。
このように、ハンティング・ワールド社が、素材が独自の本件素材であることを示す形態においてであったとはいえ、被控訴人標章あるいは「BATTUE CLOTH」、「バチュークロス」という標章を、自社製の本件バッグ類と常に結び付けて販売し宣伝広告していたため、かばん袋物では一般に素材の特徴が直接商品の特徴となる要素が大きいこともあずかって、被控訴人標章は、控訴人が本件商標の商標登録出願した昭和五七年一月七日には、本件素材を表示するものとしての本来の意義を超え、同社が本件素材を用いて製造販売するバッグ類そのものを表示するものとしても、需要者の間に広く認識されるに至っていた。
以上の経緯からも明らかなように、ハンティング・ワールド社には、被控訴人標章を使用するにつき不正競争の目的はなかった。
3 ハンテイング・ワールド社とサンフレール間の輸入総代理店契約は、昭和五七年秋に終了したが、ハンテイング・ワールド社は、同年一一月三日、これに引き続くものとして、被控訴人との間で輸入総代理店契約を締結し、被控訴人を通じて、引き続き、わが国内において、本件素材を用いた本件バッグ類の販売を続けて今日に至っている。その間の被控訴人標章並びに「BATTUE CLOTH」及び「バチュークロス」との標章の使用状況は、2に述べたのと同様である。
四 抗弁に対する認否
抗弁事実のうち、ハンティング・ワールド社が、本件素材を用いた本件バッグ類をサンフレール及び被控訴人に輸出してわが国内で販売させてきたこと、輸出するに際して、ハンティング・ワールド社の標章を本件バッグ類の本体及びタグの表面に附し、タグの裏面に控訴人標章を附していること、本件バッグ類を右タグを附したままで店頭に出させてきたことは認める。その余の抗弁事実は否認する。
上記タグを本件バッグ類に附すことは、被控訴人標章を本件バッグ類について使用することに該当する。それに対し、被控訴人主張の、本件バッグ類の宣伝広告に、その素材が本件素材であることを示すものとして、被控訴人標章あるいは「BATTUE CLOTH」、「バチュークロス」との標章を附す行為は、控訴人標章を本件素材を示すために使用することには該当しても、本件バッグ類について使用することには該当しない。
いずれにせよ、被控訴人標章は、控訴人が本件商標の商標登録出願した昭和五七年一月七日には、ハンティング・ワールド社が製造販売する本件バッグ類についての商標としての周知性を獲得していなかった。
第三証拠<省略>
理由
一 請求の原因1ないし3の事実は、当事者間に争いがない。
二 抗弁について判断する。
1 当事者間に争いのない右一の事実に、成立に争いのない甲第四号証、第七号証の一・二、乙第一号証ないし第五号証、第六号証の二、第七号証ないし第九号証、第一二号証の一・二、第一八号証ないし第二八号証、証人加藤裕之の証言により真正に成立したものと認められる乙第三〇号証、第三一号証の一・二、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第二号証の一ないし五、乙第三二号証及び証人加藤裕之の証言並びに弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。
(一) ハンティング・ワールド社は、狩猟用バッグの専門店として、一九六五年(昭和四〇年)に設立された米国法人であるが、旅行用品や野外活動用品の素材として、本件素材を開発し、ある種の狩猟法を意味するフランス語の「battue」にヒントを得て、これを「BATTUE CLOTH」と名付け、遅くとも一九七四年(昭和四九年)には、米国内において、本件素材を使用したバッグ類を販売していた。
(二) ハンティング・ワールド社は、昭和五二年二月二日、サンフレールと輸入総代理店契約を締結し、その頃から、サンフレールを通じて、日本国内において、本件バッグ類を主とする製品の販売をしてきた。ハンティング・ワールド社の本件バッグ類には、円の中央に象の図柄をあしらい、その左上に「HUNTING」、右下に「WORLD」の各文字を配置した同社の標章が、そのバッグ本体に附されているほか、表面に右標章を附し、裏面に被控訴人標章を附したタグが下げられていた。
(三) サンフレールは、本件バッグ類の販売のために、カタログを作成し、株式会社婦人画報社発行の「MEN'件バッグ類の広告を掲載した。また、本件バッグ類は、バッグの価格としては相当に高額であり、かつ、用途において一般向けの商品として取り扱われていなかったが、特徴のある素材を使用していたため、雑誌社等の取材を受けて、例えば、産報出版株式会社発行の「フイツシング」昭和五三年二月号、「月刊シユーテイング★ライフ」昭和五四年七月号、中央公論社発行の「別冊暮しの設計五号」(昭和五五年一二月発行)、株式会社講談社発行の「世界の一流品大図鑑」80年版(同年五月発行)等の雑誌に本件バッグ類が紹介された。
そして、サンフレールが昭和五六年頃に約五〇〇〇部作成した、本件バッグ類を含むハンティング・ワールド社製の各種商品のカタログには、「バチユークロス フランスで生まれた新しい素材をバッグに生かしています。ウレタンコーティンングをしたナイロンオックスフォードの内部に一mmの厚さのウレタンをはさみ、裏にナイロンジャージーを張った三層の布。防水・断熱でショックに強くその独特な風合いと感触が、いま、新しいファッション感覚と注目されています。バチューとはフランス語で“狩り”とか“皆殺し”の意。“バチュークロス”は HUNTING WORLD でのみ使われている名称です。」との記載があり、また、右広告及び紹介記事には、本件バッグ類の写真を掲げ、その説明として、「Bはオリジナル・バトー・クロス-軽量で、熱や冷気にも強い、完全防水の三層構造素材-製」、「オリジナル・バチュ・クロス 表皮はウレタンをコートしたナイロン。一mm厚のウレタンフォームを中にはさみ、内側はなめらかなナイロンで被っています。」、「写真右はオリジナル。バチュ・クロス、ウレタンをコートしたナイロン地に1mm厚のウレタンフォームを中にはさみ、内側はなめらかなナイロン。」、「オリジナル・バチユクロスの表皮は軽量で熱や冷気にも強く、完全防水の重構造で探検隊用である」、「軽くて機能的なバッチュークロスの旅行バッグ」等の記載がされている。
(四) サンフレールは、本件バッグ類の価額が一般のバッグ類の価額に比べ相当に高価であるため、その販売店も、直営店であるホテルニユーオータニ「サンローゼ赤坂」のほか、百貨店等の有名小売店を選び、昭和五二年一二月頃には、東京、大阪及び福岡の三都市に所在する四店舗、昭和五三年頃には、東京、横浜、名古屋、大阪、札幌及び福岡の六都市に所在する八店舗、昭和五五年頃には、全国約二〇都市に所在する三〇余の店舗、更に、昭和五六年頃には、五五の有名店舗において、本件バッグ類を販売してきたものであり、右店舗の拡大に伴い、売上も次第に増加した。ちなみに、昭和五四年当時、ハンティング・ワールド社とサンフレール間の代理店契約に定められたサンフレールの最低輸入額は三〇万ドル、最低広告料は三万ドルであり、最低輸入額は昭和五六年分については六〇万ドルに引き上げられた。
(五) ハンティング・ワールド社とサンフレールとの輸入総代理店契約は、昭和五七年秋に終了したが、ハンティング・ワールド社は、同年一一月三日、被控訴人と輸入総代理店契約を締結し、被控訴人を通じて、直営店を含め、東京、大阪等全国一四都市に所在する三〇前後の有名店舗において、引き続き、本件バッグ類を販売し、今日に至っている。その間に被控訴人標章あるいは「BATTUE CLOTH」、「バチュークロス」との標章の使用形態は、サンフレールが輸入販売していた当時と同様である。
2 右認定の事実によれば、ハンティング・ワールド社が、素材が同社の開発した独自の本件素材であることを示す形態においてであったとはいえ、被控訴人標章あるいは「BATTUE CLOTH」、「バチュークロス」という標章を、同社が本件素材を用いて製造販売するバッグ類と常に結び付けて販売し宣伝広告してきた結果、かばん袋物では一般に素材の特徴が直接商品の特徴となる要素が大きいこともあずかって、被控訴人標章は、控訴人が本件商標の商標登録出願した昭和五七年一月七日には、本件素材を表示するものとしての本来の意義を超え、本件バッグ類そのものを表示するものとしても、わが国において、主としていわゆる高級品市場において、需要者の間に広く認識されるに至っていたと認められる。すなわち、ハンティング・ワールド社は、控訴人の本件商標に係る商標登録出願前から、日本国内において、不正競争の目的でなく、その商標登録出願に係る指定商品の範囲に属する本件バッグ類について本件商標に類似する被控訴人標章の使用をしてきた結果、その商標登録出願の際、現に、被控訴人標章は、ハンティング・ワールド社の業務に係る本件バッグ類を表示するものとして、主としていわゆる高級品市場において、需要者の間に広く認識されていたというべきであり、かつ、ハンティング・ワールド社は、継続して本件バッグ類について被控訴人標章の使用をしているものと認められるから、ハンティング・ワールド社は、その使用の形態において、本件バッグ類について被控訴人標章の使用をする権利、すなわち、先使用権を有するものというべきである。
そして、輸入総代理店である被控訴人は、右ハンティング・ワールド社の先使用権の範囲に属する行為として、同社から本件バッグ類を輸入し日本国内の店舗においてこれを販売するについて控訴人標章を使用する権原を有し、これをもって、控訴人に対抗できるものということができる。
3 証人佐藤明美の証言により真正に成立したものと認められる甲第九号証の一ないし五一(アンケート調査と回答)によれば、控訴人のアンケート調査に応じた五一名のうちの五〇名が、昭和五七年一月頃の時点において、「BATTUE CLOTH(バチュークロス)」を知らなかった旨回答したことが認められ、また、控訴人代表者尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一〇号証の一ないし一七(報告書)及び弁論の全趣旨により成立したものと認められる甲第一七号証、一八号証の一(いずれも陳述書)によれば、控訴人と取引関係にある業者の報告書又は陳述書に、控訴人が、昭和五三年頃から、自社製のバッグに「BATTUE CLOTH」の標章を附して販売していることを知っていること、他方、ハンティング・ワールド社が自社製のバッグに「バチュークロス」の標章を附して販売していることは知らないか、知っていても、その時期は昭和五八年頃あるいは昭和六一年頃以降であることが記載されていることが認められる。しかし、これについては、回答者の選定が適切であったかについて疑問が残ること、右1の認定事実から明らかなように、本件バッグ類が主としていわゆる高級品市場における需要者を対象とするものであったことに照らすと、右2の判断を左右するに足りないというべきである。証人金井昌朝も、控訴人と取引のあるかばん製造業者として、同趣旨の供述をするけれども、採用できない。
なお、控訴人代表者尋問の結果中には、控訴人が本件商標につき登録出願したとき、代表者佐藤俊之は、ハンティング・ワールド社が既に本件商標と同一の標章を使用していることを知らなかったとの供述部分があるが、およそ信用できない。いずれも成立に争いのない乙第一ないし第五号証、第九号証、第二九号証の一・二、控訴人代表者尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は本件商標の登録出願と同時に、「LETHERLUX」という標章についても商標登録出願をしているが、「LETHERLUX」は、ハンティング・ワールド社が、米国においては「BATTUE CLOTH」より前から、わが国においてはこれと同時に、本件素材とは別の特定の素材を示すものとして使用していた標章であることが認められ、これらの言葉は、いずれの一つをとってみても思い付きやすいものではなく、特に「LETHERLUX」は造語であって辞書にもないことを考えると、控訴人代表者がハンティング・ワールド社の使用と無関係にこれらに思い付いたとは到底信じられないからである。
三 以上のとおり、控訴人の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないから、失当として棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。
よって、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 牧野利秋 山下和明 三代川俊一郎)
別紙目録、商標公報添付<省略>